自分ではないほかの誰かになろうとしない

知り合いの農家さんに、

玉ねぎの苗の植え付けの手伝いを頼まれ、

そこで一緒に仕事することになった友人と、

話している時に気付いたこと。

 

僕は今まで、

「自分もこんな魅力的な人になりたい」

という思いで、ある人の後を追いかけてきた。

 

その人の最大の魅力は、

僕には出来ないことが出来る、ということ。

 

僕に出来ることはとても少なく、

その人に出来ることは、とても多かった。

 

その人に憧れ、

負けたくない、勝ちたいと、常に意識してきた。

 

その人を真似て、

自分に出来ないことをしようと努力するたびに、

自分の無能さを実感し、打ちのめされ、落ち込んだ。

 

その人に勝つために、

自分にしか出来ないことや、

自分が得意なことを見つけては、

小さな優越感で、自分の価値を認めようとした。

 

そんな孤独な戦いに疲れ果てても、

けっきょく、その人に勝つことは出来なかった。

 

たぶん、永遠に勝つことは出来ない。

なぜなら、彼と僕は、違う人間だからだ。

 

「彼は、すごい。」

そう、素直に言えるようになって初めて、

僕の中にいる、本当の僕と向き合うための、

スタート地点に立つことが出来る。

 

そんな気がした。